〈シンポジウム開催あいさつ〉
《日 時》 令和元年11月30日(土) 13時30分~16時20分
《会 場》 津和野町立森鷗外記念館(津和野町町田)
《テーマ》 「西周と明六社」
《主 催》 島根県立大学 津和野町
《プログラム》
◆総合司会 島根県立大学北東アジア地域研究センター長 李 暁東(り・ぎょうとう)氏
◆あいさつ 津和野町副町長 島田 賢司(しまだ・けんじ)
◆講 演 専修大学教授 菅原 光(すがわら・ひかる)氏
「最重要人物としての西周―明六社における討論の模索」
◆第2回西周賞授賞式
◎受賞者 堤田 泰成(つつみだ・やすなり)氏(上智大学大学院文学研究科哲学専攻)
論文「明治大正期におけるショーペンハウアー哲学受容と翻訳の問題について
―西周『百学連環』から現在までの軌跡とともに」
◎審査講評 選考委員長 樺山紘一(かばやま・こういち)氏(印刷博物館館長)
◎受賞者講演 堤田泰成氏(講演タイトルは論文に同じ)
《概 要》
このシンポジウムは、日本文化学術の近代化に大きく貢献した津和野町出身の啓蒙思想家西周先生の顕彰と研究の推進を目的として、島根県立大学の西周研究会が中心となって毎年開催しているもので、本年で17回目を数え、前回から島根県立大学と津和野町の共同開催の形で行われています。
総合司会の島根県立大学北東アジア地域研究センター長・李暁東氏のあいさつで幕が開き、続いて島田賢司副町長が歓迎のあいさつを述べました。
今年の基調講演は、専修大学教授の菅原光氏の「最重要人物としての西周―明六社における討論の模索」でした。
菅原氏は、「日本で初めての学術結社である明六社は、これまで啓蒙的洋学者集団と捉えられていたが、実は深い漢学の素養も併せ持つ討論的集団だった」との新視点を示しました。さらにその討論の特徴についても、「会読(江戸の私塾で行われた討論的読書会)」という方法と「愛敵(対立や異論を歓迎し意見を戦わせることを重視する態度)」の精神を尊重し、公開性と多様性に満ちたものだったとも指摘しました。
〈基調講演 菅原光氏〉
次に、今年で2回目となる「西周賞」の授賞式が行われました。この賞は、対象を若手(40歳以下)研究者に限定したユニークなものです。
受賞者は、現在、上智大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程3年(日本学術振興会特別研究員)に在籍する堤田泰成氏(31歳)で、受賞論文のタイトルは「明治大正期におけるショーペンハウアー哲学受容と翻訳の問題について―西周『百学連環』から現在までの軌跡とともに」でした。
島田副町長から賞状と賞金が授与されたあと、論文の選考委員長を務めた樺山紘一氏が講評を行いました。樺山氏は、現在作業が進行中の「西周新全集」の代表編集委員も務めている日本を代表する研究者の一人です。講評では、応募のあった5論文すべてについて言及があり、受賞論文と受賞を逃した論文が僅差だったために決定が苦渋の選択であったことなどが述べられました。
〈授賞式のようす〉 〈選考委員長 樺山紘一氏講評〉
続いて、西周賞受賞者の堤田氏が受賞記念講演を行いました。
堤田氏はまず、自分の専門は西周ではなく19世紀ドイツの哲学者ショーペンハウアー研究であることを述べたのち、西周が日本に最初にショーペンハウアーを紹介したことをきっかけとして西周に興味をもったことにも触れました。さらには、森鷗外とショーペンハウアーにも深い縁もがあり、そのエピソードとして、鷗外が自らの墓石に本名のほかは一字も彫ってはならないとした有名な遺言は、ショーペンハウアーの影響かもしれないという興味深い考察も披露されました。
〈受賞者 堤田泰成氏〉
最後には、約40名の出席者の中から質問があり、3時間近くにわたったシンポジウムは午後4時過ぎに閉幕しました。(文責:西周顕彰事業担当 山岡浩二)
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