旧堀氏庭園名勝指定20周年記念事業が旧畑迫病院「医食の学び舎」で開催され、出席をしてまいりました。
旧堀氏庭園は銅山経営で栄えた堀家の屋敷と庭園で構成され、江戸時代の主屋と主庭、明治時代に建設された客殿・楽山荘と付属の庭園、大正時代に作庭された和楽園からなり、3つの建物が一体となって美しい景観を醸成する名園です。
平成17年7月に国名勝指定を受け、平成23年に主屋の保存修理工事を、平成28年には近隣に堀家が地域住民や鉱山労働者へ医療を安価に提供するため創設した旧畑迫病院の保存修理工事を行い、津和野町にとって重要な文化財である両施設の保存に注力してまいりました。
こうした中、施設のある畑迫地区では、地域の歴史ある財産を守り継承することを目的に「旧堀庭園を守り活かす会」が結成され、これまでの間、年間を通しての草刈りや清掃活動などの環境整備、新緑の映える春や紅葉が美しい秋におけるイベントの実施、医食同源のコンセプトを有したレストラン「糧」の運営など、文化財の魅力を磨き、活用する取り組みにご尽力頂いてまいりました。
この度の20周年を記念する事業も、当会の発案により開催されたものであり、こうした主体的な活動に対し、深く感謝を申しあげます。
当日は、国立文化財機構奈良文化財研究所本中眞所長、文化庁文化資源活用課中井將胤主任文化財調査官、石見銀山資料館仲野義文館長をはじめ、当施設に縁のある皆さまにお越し頂き、記念講演やミニシンポジウムなどが行われました。
堀家の歴史や名勝指定にいたる経過、他地域の文化財活用事例などのお話を聞き、改めて旧堀氏庭園の価値とともに、今後も保存活用を実施して行く上での町としての責任を自覚したところであります。
同時に、当文化財は「旧堀氏庭園を守り活かす会」が存在していることが大きな強みであることもシンポジウムを通じて再認識いたしました。
今後も当会と連携した更なる取り組みを進めてまいりたいと思います。
最後に、20周年を迎えるにあたり、長年にわたって楽山荘と庭園の維持のため私財を投じてご尽力を頂いてきた大谷一生様のご功績を忘れてはならず、そのご労苦に対して深く感謝を申し上げます。