ごあいさつ

平成13(2001)年3月20日に、安野光雅美術館が開館して、多くの皆様のご支援を頂きながら14年の歳月が過ぎていきました。安野光雅さんの仕事もますます旺盛に、画集だけでなく、新聞、雑誌の数々の連載を今もなお精力的に続けておられます。
 そんな安野光雅さんが、平成24年、文化功労者に選ばれました。
 これまでに安野光雅さんは、国内外の数々の賞に輝いておられますが、その中でも、このたびの文化功労者の受章につきましては、多くの方々が一番に待ち望んでおられたことと思いますし、ご功績を振り返れば、満を持した受章であると大変喜んでいるところです。
 芸術のみならず、科学・数学・文学など幅広い分野に造詣が深く、多くの方々と親交をもたれ、そうした豊かな知識と感性、想像力が、他に類を見ない安野作品の特徴を創り、年代を問わず多くの皆さんに親しまれているのだと思います。
 そのような安野さんの描く作品を、初期の作品から最新の作品まで、ゆっくり鑑賞していただけるように、美術館の展示も、第1展示室、第2展示室の二つの展示室で趣向を凝らして展示しています。
 絵本その他でごらんになったことのある作品には、それぞれに安野さんの文章が添えられています。作品を直接目にしていただければ、また新鮮な発見があることと信じます。
 また、芸術と科学をこよなく愛す安野さんならではの強い希望で設置されているプラネタリウムでは、独自の番組を通して安野さん自身の言葉で、空想や、夢がいかに大事かをうかがい知ることができるでしょう。
 この地方特有の赤茶色の石見瓦と白い漆喰…この美術館全体が、安野さんの夢を込めた作品なのです。
 この安野光雅美術館と、桜満開の陽春の光、ホタルの乱舞に心を奪われる夏、紅葉の秋、また静かな冬の自然など、季節ごとに移ろい新しい姿を見せる四季の津和野が、皆様のお心にかなうことができれば、と思っています。

館長 大矢鞆音

 

 
  

安野光雅(あんの・みつまさ/1926〜)

 大正15年3月20日、島根県津和野町に生まれる。生家は宿屋を営んでいた。昭和7年津和野小学校へ入学。絵が大好きな少年であった。
 昭和14年、津和野を離れ宇部高等小学校へ転校。昭和20年4月招集、同年8月15日香川県王越村(現坂出市)で終戦を迎える。昭和23年4月代用教員として徳山市加見小学校(現周南市)に勤める。
 昭和25年3月美術教員として上京、玉川学園に勤める。その後、三鷹第五小学校、武蔵野第4小学校の美術教師を勤める。教員のかたわら、本の装丁などを手がける。
 出版社等の仕事が多くなり昭和36年教師を辞めて画家として独立。昭和43年、文章がない絵本「ふしぎなえ」で絵本界にデビュー。その後、その好奇心と想像力の豊かさで次々と独創性に富んだ作品や淡い色調の水彩画で、やさしい雰囲気漂う風景を描いた作品などを数多く発表し続けている。
 また「ふしぎなえ」、「さかさま」、「ABCの本」、「旅の絵本」などの多くが海外でも評価が高く、様々な国で出版され多くのファンをもつ。
 その才能の豊かさは、芸術の世界だけにとどまらず、科学・数学・文学などに造詣が深く、著作も多く、最近では、森鴎外訳「即興詩人」を口語訳した「口語訳 即興詩人」がある。また「日曜喫茶室」や「週刊ブックレビュー」などのレギュラーを務めるなど幅の広い活動をしている。
 平成13年(2001)年3月20日、安野光雅さんの75歳の誕生日に、故郷津和野の駅前に「安野光雅美術館」が開館、本年3月で10周年を迎えた。
 また多くの業績に対し、ブルックリン美術館賞(アメリカ)、ケイト・グリナウェイ賞特別賞(イギリス)、BIBゴールデンアップル賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞画家賞、紫綬褒章、第56回菊池寛賞など国内じめとする数々の賞が贈られている。
 代表作には「ふしぎなえ」、「ABCの本」、「天動説の絵本」、「旅の絵本」、「繪本 平家物語」、「繪本 三國志」や司馬遼太郎の紀行「街道をゆく」の装画などがある。



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