本館は、日夜変貌をとげている国内外のさまざまな出来事を、写真を通じて身近に紹介する場として設置されました。
 その主旨にそって、写真は、一瞬の出来事から忘れてはならない歴史の痕跡までを忠実に記録している報道写真という分野を、本町出身で、報道写真家として第一線で活躍されている桑原史成氏の写真を中心に展示しています。
 私たちの記憶の奥に埋没している歴史の一コマーコマを、来館者の皆さまが、展示写真からその記憶に再現していただけたら幸いです。

桑原 史成
くわばら しせい
 
 
桑原史成写真展 第1期

亡国、南ベトナム
-ベトナム戦争の終結から半世紀-

2025.4.18~2025.7.16
※休館日:木曜



                                                   ©桑原史成 1973年
 桑原史成写真美術館の今回の展示は『亡国、南ベトナム』を展示します。
 ベトナム戦争の発端は、南と北の同じ民族同士の紛争であったが、北側には共産主義国から軍事支援があり、そして南側は資本主義国(主に米国)の強力な軍事支援を受けて起きた戦争である。
 
1964年に米駆逐艦が北ベトナム軍の艦艇から発砲を受けた「トンキン湾事件」が発端と言われる。
 このベトナム戦争は、
1975430日の「首都サイゴンの陥落」で10年余にわたった戦乱は終結した。
 戦火、戦禍で負傷また亡くなった南・北ベトナムの民間人の数は定かでないが、南軍、解放戦線、北軍、そして対峙した主力の米軍、さらに参戦国の韓国軍などの戦死者数も膨大である。双方の軍、民間人の負傷、死者数もあわせて約
1,000万人ともされる。さらに米軍が散布した「枯葉剤」での後遺症による患者など、計り知れない負傷者も含め、それは誠に壮絶な20世紀の戦争・戦禍の歴史であったのです。

                          報道写真家 桑原 史成
SHISEI KUWABARA MUSEUM OF PHOTOGRAPHY