韓国(朝鮮半島)では高麗(918−1392年)それに李朝(1392−1910年)の歴史を合わせて約1000年である。2つの時代に育まれた陶磁文化は、高麗の青磁、李朝の白磁などめざましい発展を遂げた。
この度の写真の展示は李氏朝鮮朝(李朝)の初期(1392−1469年)の頃、青磁から白磁に移行する狭間で、わずか数十年の短い歳月で燃成された庶民の日常生活に使う雑器が、日本に渡来し、室町時代の後期から桃山時代(1568−1600年)に茶道の抹茶茶碗として重宝された。「侘び、寂」の美意識は、隣国の庶民たちが使っていた飯や汁物を入れる食器の碗の素朴で大胆な作風が源流にあるとされる。
韓国の陶磁文化は李朝末期の混迷と日本による植民地支配の政治的な混乱で衰退の途をたどる。そして朝鮮戦争の休戦(1953年)から20年が経った1973年、およそ500年前に姿を消した雑器、いわば幻の茶碗の再現に夢を抱く韓国の陶工たちが慶尚北道の山深い聞慶にいた。
この度の展示には申正熙をはじめ千漢鳳、洪在杓、朴鐘漢の4人の陶芸家を取材した作陶の現場や各種の陶器写真を、ご覧頂くことにした。
報道写真家 桑原史成