本館は、日夜変貌をとげている国内外のさまざまな出来事を、写真を通じて身近に紹介する場として設置されました。
 その主旨にそって、写真は、一瞬の出来事から忘れてはならない歴史の痕跡までを忠実に記録している報道写真という分野を、本町出身で、報道写真家として第一線で活躍されている桑原史成氏の写真を中心に展示しています。
 私たちの記憶の奥に埋没している歴史の一コマーコマを、来館者の皆さまが、展示写真からその記憶に再現していただけたら幸いです。

桑原史成
くわぱらしせい
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桑原史成写真展

韓国の多彩な仮面
- 庶民の風刺劇 -

2021.7.16~2021.10.20
2021年10月21日(木)は作品の入れ替えのため休館します。
 

©桑原史成
 桑原史成写真美術館の今回の展示は「韓国の多彩な仮面-庶民の風刺劇-」を展示します。
 このたびの展示は、韓国で人気の高い民衆が演じる素朴な仮面劇と、それに使用される多彩な仮面を紹介、展示することにした。
 最初に韓国の歴史について、近世までの1000年に特化して解説させていただく。現在の韓国は、かつては朝鮮国で日本が統治していた36年間(1910年〜1945年)と日本の敗戦の後、勃発した朝鮮戦争で国土は北朝鮮と韓国に分断されて現在に至っている。
 その朝鮮国の約1000年の歴史は、専制政治で西暦の918年から1392年まで34代で474年間が続く高麗王朝で、次は李朝(李氏朝鮮王朝)が1392年から1897年まで505年間、27代が続いた。ちなみに日本の徳川幕府は家康から慶喜まで15代、262年である
 朝鮮の高麗、李朝の先制政治の年数を合算すれば979年になる。この約1000年に近い歴史で専制の政治は、一部の特権階級と、多くの民衆は平民で社会は二つの身分制度で天と地の開きがあった。李朝時代には、さらに身分制度が進み権力者はより豊かに、また横暴になっていった。仮面劇は、このような社会状況の中で登場してきた。虐げられた平民たちは仮面を被って、権力者や裕福な人達の身の振る舞いなどにケチを付ける。言わば平民たちの憂さ晴らしである。時には若い女と浮気をする亭主も槍玉に挙げられる。痛烈な世相の風刺劇とも言われる。
 現在では舞台でも演じられるが、本来は人の集まる村の広場(マダン)などで笛と打楽器で演じられ、見物の観客から盛大な声援が飛ぶ。高麗、李朝時代の百姓や商売を“賎民”と言う言葉で言い、権力者の家系を両班(ヤンバン)と言い、両者間の縁談は不可であった、と伝えられる。平民(賎民)が、両班になれる機会が1つある。科挙試験で、その壁を越えるのは至難の競争率であった。貧しい者が、豊かになれる「科挙試験」の発想は現代の韓国社会で根強く生きていて、一流の大学に子息を入れようとする受験戦争である。
 ここに展示の写真の映像だけで、笑みや感嘆などの反応があるとも思えない。しかし、韓国(朝鮮)の古代の人たちが愚痴を言い、反骨と意を示しながら1000年を生き抜いてきた不屈の生き方があった事を知って頂きたい。
                                    報道写真家 桑原史成
SHISEI KUWABARA MUSEUM OF PHOTOGRAPHY