桑原史成写真館の平成30年度第3期展は『水俣』を展示します。石牟礼道子原作の『苦海浄土』に出てくる主人公の一家とは、僕が初めて水俣を訪れた1960年の夏に知り合っていて、写真で記録してきていました。この一家の存在を、僕が雑誌『世界』(岩波書店)で1962年に掲載したという経緯から、展示の冒頭では、その一家・半永家の写真を展示しています。
 半永家は、水俣湾で魚を獲る漁師で水俣病が発生して以来、家族全員が翻弄される生活が強いられたのです。『苦海浄土』に登場する「爺さま」は、杢太カ少年の祖父です。
 爺さまの実名は半永多良喜、孫の杢太カは一光です。祖父の多良喜が語る会話、またその語り口の抑揚は、実に感情がほとばしっていました。孫の一光は3人兄弟の三男に生まれ胎児性の水俣病患者です。母は、僕が訪れた1960年の時点で一家から離れていました。原因は祖母からの“いびり”だと言われています。僕は、後に一光が実の母と再会する現場を撮影しています。彼は、既に還暦を過ぎ幼少から水俣にある明水園で終生を過ごして来ています。
                           報道写真家 桑原史成
 本館は、日夜変貌をとげている国内外のさまざまな出来事を、写真を通じて身近に紹介する場として設置されました。
 その主旨にそって、写真は、一瞬の出来事から忘れてはならない歴史の痕跡までを忠実に記録している報道写真という分野を、本町出身で、報道写真家として第一線で活躍されている桑原史成氏の写真を中心に展示しています。
 私たちの記憶の奥に埋没している歴史の一コマーコマを、来館者の皆さまが、展示写真からその記憶に再現していただけたら幸いです。

桑原史成
くわぱらしせい
        

一人芝居「天の魚(てんのいを)」

○日 時:平成30(2018)年11月25日(日) 開演18:30〜
○会 場:安野光雅美術館ロビー                  
○入場料:1,000円(全席自由)                  
○主 催:「天の魚」出前プロジェクト                
 
 平成30年度 第3期展 「僕が記録した『水俣』」
〜支援の人たちと「天の魚」の実在の家族 石牟礼道子原作『苦海浄土』より〜
H30.10.19〜H31.1.16
H31年1月17日(木)は作品の入れ替えのため休館します。

SHISEI KUWABARA MUSEUM OF PHOTOGRAPHY