この4月中旬は奇しくも熊本県下に滞在していて熊本地震の前震と本震に遭遇した。実は、5月1日が水俣病事件の確認(1956年5月1日)から、ちょうど60年目の節目に当たるため、ぼくは地元テレビ局・熊本放送(TBS系)の依頼を受けてドキュメンタリー番組の取材に入っていた時の地震である。
 この4月は、「公式認定から60年」でテレビをはじめ新聞、通信社、雑誌社などマスメディアの取材合戦が水俣の地で繰り広げられていた。本震の起きた4月16日未明(1時25分)は、熊本市から約80q離れた水俣でも震度6弱であったとされる。
 この日、4月16日の午前11時には、水俣の漁村(湯堂集落)で患者や支援者、関係者に集まってもらい約40数名の集合写真を撮る計画が進行していた。撮影を実行するか否かで、ぼくとテレビ局の間で葛藤が生じた。参加を呼びかけた患者さんの数は少し減ったが、集まって下さった人たちの好意を無にすることを避けて、撮影は無事に終了させることが出来た。熊本放送の取材チームの4人は昼食も取らず震源の熊本に向けて走り去っていった。
 地震の取材記で解説が少し長くなった。60年の節目の水俣事件については、写真のキャプション(説明文)で読み取っていただきたい、とお願いする次第になりました。ありがとうございます。


                                         報道写真家 桑原史成

 本館は、日夜変貌をとげている国内外のさまざまな出来事を、写真を通じて身近に紹介する場として設置されました。
 その主旨にそって、写真は、一瞬の出来事から忘れてはならない歴史の痕跡までを忠実に記録している報道写真という分野を、本町出身で、報道写真家として第一線で活躍されている桑原史成氏の写真を中心に展示しています。
 私たちの記憶の奥に埋没している歴史の一コマーコマを、来館者の皆さまが、展示写真からその記憶に再現していただけたら幸いです。
桑原 史成写真
桑原史成
くわぱらしせい
        

 
 第2期展 「2つの惨事−水俣事件と熊本地震」
H28.6.11〜H28.9.14
9月15日は作品の入れ替えのため休館します。

SHISEI KUWABARA MUSEUM OF PHOTOGRAPHY