平成20年度展示スケジュール
年間テーマ「安野光雅のデザイン・絵本・風景画」

夏期展 平成20年6月13日(金)〜平成20年9月10日(水)


開館時間:通常 9:00〜17:00(最終入館16:45)
入館料:
大人800円(650円)中高生400円(250円)小学生250円(100円)
           ( )内は20名様以上の団体料金
   
 ・第1展示室
  展示ブース1 「安野光雅が手がけた本の装丁画 〜澤地久枝さんの著書を中心に〜」
  展示ブース2 「蚤の市」

 ・第2展示室  
   「日本の風景 U 〜津和野・明日香〜」



第1展示室
「安野光雅が手がけた本の装丁画 〜澤地久枝さんの著書を中心に〜

完本昭和史のおんな(澤地久枝著)


道づれは好奇心(澤地久枝著)



発信する声(澤地久枝著)

 安野が作家・澤地久枝さんの著書の装丁を初めて手がけたのは一九八〇年発行の「ぬくもりのある旅」(文藝春秋)。それ以降、三〇年あまりで、澤地さんの著書五〇冊近くの装丁を担当しています。
 表紙を飾っているのは牧歌的な風景や花、中には安野と澤地さんのみぞ極意がわかるといった微笑ましいイラストレーションもあります。
 この「完本昭和史のおんな」の表紙に描かれているのは布オムツだそうです。紙オムツが普及する前は、古着の浴衣などをといて作った布オムツを使うのがごく当たり前のことで、赤ちゃんのいる家の軒先には何枚も干してあったものです。
 安野は「家電製品が生活の隅々にまで普及している現在と比べて、昔のお母さんは手を真っ赤にしながら冷たい井戸水でオムツを洗ったりして大変だった。布オムツのことだけではなく、お母さんのその苦労を思うと込み上げてくるものがある」と言います。
 また、澤地さんもその著書のあとがきで「安野光雅氏の、寓意にみちた悲しいほど美しい暮しの風景をとどめる装幀」と称えています。
 安野と澤地さんはシルクロードを一緒に旅し、「絲綢の道はるか」(文藝春秋発行)という本を共に著したりもしています。その道中、中国の安西で安野は澤地さんのために落款を彫り贈っており、澤地さんはそれを擦り切れるほど愛用していると語っています。
 今期は澤地さんの著書のために描いた装丁画と澤地が所蔵している安野作品を中心に、装丁家と作家という繋がりを超え親交を深めてきた安野から澤地さんに贈られた書や葉書、落款などもあわせて紹介します。



絵本「蚤の市」(展示期間3月14日〜9月10日)


「蚤の市」

 「蚤の市」という絵本の原画を紹介します。
 蚤の市とはヨーロッパの大都市の各地で春から夏にかけて、教会や市庁舎前の広場などで開かれる古物市のことをいいます。
 描かれているのは、鍋や皿などの日用品をはじめ工具、玩具、楽器…入れ歯なんかも見えます。珍品もズラリと並ぶなんでもありの市場を、たくさんの人が品定めをしながら行き交います。なんだか店主と客のやりとりが聞こえてきそうです。あれ、ポパイや(不思議の国の)アリスなどの姿も見えるようです。
 安野はこの作品に触れ
 「おじいさんのおじいさんの、そのまたおじいさんが使ったもので、使いかたがわからなくなったものさえもあります。もし、わからないものがあったときは、お父さんやお母さんや、おじいさんや、おばあさんに聞いて調べてほしいのです。おじいさんは草刈り鎌の話を、おばあさんは紡ぎ車の話を、してくださるかもしれません。そうして、古いお話を聞くことができたとしたら、それが、この絵本の物語なのです。」
と述べています。
 安野の作品には、この作品と同様に、「旅の絵本」シリーズなど『おはなし』がない絵本がいくつかありますが、それらは読者へ作家から贈られた無限に広がる物語絵本となっているのです。

第2展示室
日本の風景 U 〜津和野・明日香〜


機関庫


明日香村の棚田

 先祖伝来の家並や田畑の広がる風景、その風景を安野さんは「原風景」と呼びます。そしてそれは安野さんにとって画の原点になっています。
 山あいにある家並、遠くまで広がる棚田、幼い頃から慣れ親しんできた山々…。今なお「原風景」を残す津和野と奈良県明日香地方の風景をご覧下さい。