平成19年度展示スケジュール
年間テーマ「安野光雅 繪本の世界」

夏期展 平成19年6月15日(金)〜平成19年9月12日(水)


開館時間:通常 09:00〜17:00(最終入館16:45)
入館料:
大人800円(650円)中高生400円(250円)小学生250円(100円)
           ( )内は20名様以上の団体料金
   
 ・第1展示室
  展示ブース1 「司馬遼太郎さんの歩いた道」展U 
  展示ブース2 「旅の絵本Y―デンマーク編―」
  展示ブース3 「ヨーロッパの街から村へ」 

 ・第2展示室  
   「おおきなもののすきなおうさま」
   「昔咄きりがみ花咲爺」 



第1展示室

           「司馬遼太郎さんの歩いた道」展U


 司馬遼太郎さん(1923〜1996年)は小説やエッセーなど数多の作品を生み出してきた作家です。
 司馬遼太郎さんの作品群の中でも紀行文「街道をゆく」シリーズは雑誌「週刊朝日」1971年1月1日号掲載の『湖西のみち』から1996年3月15日号掲載『濃尾参州記』(連載第七回にて絶筆)まで実に25年の長きにわたり、日本全国津々浦々、アジア諸国、欧米までも足を伸ばし綿密に探査され、その土地の持つ歴史に迫って書き出されたものです。司馬さんが訪れた地は全72街道、まとめられた単行本は43冊に及びます。
 安野は1991年から約6年間、司馬遼太郎さんの書く「街道をゆく」の装画を担当し、その取材旅行に同行、スケッチを行ってきました。
 その取材旅行の日々について安野は「あの司馬さんを中にしてしゃべっていると、酒というより、話に酔って、実に不思議な雰囲気の別世界が出現するのでした。ほとんどアラビアンナイトの世界です。わたしはひそかに『司馬千夜一夜』だなと思っていました。」(「街道をゆく」展図録より/1997年・朝日新聞社発行)と特別な楽しい日々だったと述べています。
 この「司馬遼太郎さんの歩いた道」展は、現在『週刊朝日』(朝日新聞社発行)で連載中の『週刊司馬遼太カ』のために描かれた風景画です。今期は「関ヶ原」「梟の城」「世に棲む日日」「峠」の作品舞台を司馬遼太郎の足跡を辿り描いた作品を紹介します。

「週刊司馬遼太郎」(2007年発行・朝日新聞社)

「旅の絵本Y―デンマーク編―」

 旅人が往くのはデンマーク。デンマークは数多くの童話を創作した作家H・C・アンデルセン(1805〜1875年)の生まれ故郷です。このデンマーク編では「マッチうりの少女」や「人魚姫」などアンデルセン童話にちなんだものが全場面に渡りたくさん描かれており、メルヘンの世界へと誘われます。

「旅の絵本Y」(2004年発行・福音館書店)


「ヨーロッパの街から村へ」

 
 安野は年に数度海外へスケッチ旅行に出かけます。
 旅先ではレンタカーを自ら運転し、地図を片手に完璧につくられていないスケジュールで最終目的地まで向かうとのことです。半分あてのない旅で目にし、心に留まる景色は観光案内書に載っているような名所旧跡ばかりではなく、人々の息遣いが聞こえてきそうな街角や、長い歳月により生まれた雄大な自然だったりします。
 今期はヨーロッパ各地を描いた作品を展観します。
 また、安野の画集にはそのスケッチと共に旅の記録とも言うべき文章が添えられています。安野光雅美術館では風景画と共にその文章も併せて紹介しています。一枚の画の持つ物語も感じながらご覧下さい。

「ヨーロッパの街から村へ」(1999年発行・朝日新聞社)


第2展示室

「おおきなもののすきなおうさま」、「昔咄きりがみ花咲爺」

「おおきなもののすきなおうさま」より

「昔咄きりがみ花咲爺」より

★「おおきなもののすきなおうさま」
 「大きい」ものに憧れる、そんな思いをしたことがある人も多いでしょう。この作品の主人公のおうさまも大きなものが好きでした。おうさまの一日は屋根よりも高いベッドで目覚め、プールのような洗面器で顔を洗い、庭のような広いタオルで顔をふいて始まるのです。おうさまの持ち物はなんでもとにかく大きいのです。両手で抱えることのできないほど大きなフォークやナイフは不便そう、百年かかっても食べきれないほどのチョコレートは羨ましさの歓声が上がりそうです。
 しかし、人間の手で作れる物には限界があります。大きな大きな植木鉢にかわいい、かわいいチューリップがひとつ咲く、……生命は人間が安易に作ることができないかけがえのないものであることを伝えられている気がします。

「おおきなもののすきなおうさま」(1976年発行・講談社)

★「昔咄きりがみ花咲爺」
 「昔咄きりがみ」シリーズは「桃太郎」「舌切雀」「花咲爺」の三作があり、日本人になじみ深い昔ばなしを、黒色の紙を切り抜いて作った「きりがみ」により安野流に表現した作品です。白と黒でできた彩りのない2色の世界は影絵を見るようで、また絵と同じ紙面に切り出された「咄」は独特の語り口調で、不思議な雰囲気を醸し出しています。
 語り継がれてきた寓話の意味も改めて考えさせられる作品です。

「昔咄きりがみ花咲爺」(1974年発行・岩崎書店)