平成19年度展示スケジュール
年間テーマ「安野光雅 繪本の世界」

春期展 平成19年3月9日(金)〜平成19年6月13日(水)


開館時間:通常 09:00〜17:00(最終入館16:45)
入館料:
大人800円(650円)中高生400円(250円)小学生250円(100円)
           ( )内は20名様以上の団体料金
   
 ・第1展示室
  展示ブース1 「司馬遼太郎さんの歩いた道」展@ 
  展示ブース2 「旅の絵本U・改訂版」
  展示ブース3 「イタリアの丘」 

 ・第2展示室  
   「おおきなもののすきなおうさま」
   「昔ばなしきりがみ舌切雀」 *“ばなし”は正しくは口へんに出と書きます。



第1展示室
「司馬遼太郎さんの歩いた道」展@

 司馬遼太郎さん(1923〜1996年)は小説やエッセーなど数多の作品を生み出してきた作家です。
 司馬遼太郎さんの作品群の中でも紀行文「街道をゆく」シリーズは雑誌「週刊朝日」1971年1月1日号掲載の『湖西のみち』から1996年3月15日号掲載『濃尾参州記』(連載第七回にて絶筆)まで実に25年の長きにわたり、日本全国津々浦々、アジア諸国、欧米までも足を伸ばし綿密に探査され、その土地の持つ歴史に迫って書き出されたものです。司馬さんが訪れた地は全72街道、まとめられた単行本は43冊に及びます。
 安野は1991年から約6年間、司馬遼太郎さんの書く「街道をゆく」の装画を担当し、その取材旅行に同行、スケッチを行ってきました。
 その取材旅行の日々について安野は「あの司馬さんを中にしてしゃべっていると、酒というより、話に酔って、実に不思議な雰囲気の別世界が出現するのでした。ほとんどアラビアンナイトの世界です。わたしはひそかに『司馬千夜一夜』だなと思っていました。」(「街道をゆく」展図録より/1997年・朝日新聞社発行)と特別な楽しい日々だったと述べています。
 春期・夏期は2006年から2007年3月まで「週刊朝日」に連載の「週刊司馬遼太郎」の装画を2部に分け初公開展示します。
 安野にとって特別な存在である司馬遼太郎の足跡を辿り描かれた風景画の数々です。


「旅の絵本U・改訂版」(原画初公開/最新作)

 現在、6編刊行されている「旅の絵本」シリーズは、各編ひとつの国がテーマになっています。空から眺めたような景色が広がる画面の中には、その地で暮らす人々の生活や伝統文化、特色豊かな町並み、自然などが広がっています。その中を馬に乗った旅人が進みます。
 随所に安野流のユーモアが散りばめられており、何が描かれているか、また描かれた人々に起きているドラマを空想してみるのも楽しみ方のひとつです。
 春期は「旅の絵本U・改訂版」の原画を展示します。この作品は1978年に刊行された「旅の絵本U」を全面的に着色し直し、また新たに作品の解説文も加え、2006年秋、「改訂版」として発行された絵本作品です。
 舞台は、高い芸術文化を持つ国イタリア。本編全21場面には、緑美しい丘陵地や歴史ある町並みとともに、「新約聖書」に基づいたイエスの生涯や有名な絵画をモデルにした光景などが描かれています。(2006年・福音館書店)



 安野はこれまで何度も外国へ赴き、それぞれの国の持つ独特の自然や町並みを描いてきました。春期は画集「イタリアの丘」収録作品を展示します。
 安野の画集にはそのスケッチと共に旅の記録とも言うべき文章が添えられています。安野光雅美術館では風景画と共にその文章も併せて紹介しています。一枚の画の持つ物語も感じながらご覧下さい。


第2展示室
「おおきなもののすきなおうさま」、「昔ばなし舌切雀」

「おおきなもののすきなおうさま」より

★「おおきなもののすきなおうさま」(1976年・講談社)
 「大きい」ものに憧れる、そんな思いをしたことがある人も多いでしょう。この作品の主人公のおうさまも大きなものが好きでした。おうさまの一日は屋根よりも高いベッドで目覚め、プールのような洗面器で顔を洗い、庭のような広いタオルで顔をふいて始まるのです。おうさまの持ち物はなんでもとにかく大きいのです。両手で抱えることのできないほど大きなフォークやナイフは不便そう、百年かかっても食べきれないほどのチョコレートは羨ましさの歓声が上がりそうです。
 しかし、人間の手で作れる物には限界があります。大きな大きな植木鉢にかわいい、かわいいチューリップがひとつ咲く、……生命は人間が安易に作ることができないかけがえのないものであることを伝えられている気がします。

★「昔咄きりがみ舌切雀」
 「昔咄きりがみ」シリーズは「桃太郎」「舌切雀」「花咲爺」の三作があり、日本人になじみ深い昔ばなしを、黒色の紙を切り抜いて作った「きりがみ」により安野流に表現した作品です。白と黒でできた彩りのない2色の世界は影絵を見るようで、また絵と同じ紙面に切り出された「咄」は独特の語り口調で、不思議な雰囲気を醸し出しています。
 語り継がれてきた寓話の意味も改めて考えさせられる作品です。