平成18年度展示スケジュール
年間テーマ「安野光雅 繪本の世界」

冬期展 平成18年12月5日(金)〜平成19年3月7日(木)


開館時間:通常 09:00〜17:00(最終入館16:45)
入館料:
大人800円(650円)中高生400円(250円)小学生250円(100円)
           ( )内は20名様以上の団体料金
年末・年始開館のおしらせ
 12月29日(金)〜31日(日)は、休館とします。
  1月 1日(元旦)〜3日(水)は、午前10時から午後3時までの開館とします。(最終入館:14:45)
  1月 4日より通常通り開館します。
  1月の休館日はありません。  

   
 ・第1展示室
  展示ブース1 「文学の絵本」 
  展示ブース2 「ヨーロッパ紀行V」(フランス、スペイン)
  展示ブース3 「ふしぎなたね」 

 ・第2展示室  
   「きつねがひろったイソップものがたり」
   



第1展示室
                 「文学の絵本」


               「文学の絵本」より『森鴎外』

               「文学の絵本」より『梶井基次郎』

               「文学の絵本」より『大佛次郎』
 「文学の絵本」は筑摩書房発行「ちくま日本文学全集」の表紙装画として描かれたものです。全集では六十人の作家を取り上げ、作家一人一冊の本としてまとめられました。
 画は、梶井基次郎には積まれた本の上に乗った檸檬、森鴎外には絹本に上野不忍池などと、個性的な六十人の各作家のイメージを表した、それぞれに個性的な絵になっています。
 単に一編の文学に対する挿絵ではなく、安野の装幀家としての一面をご覧下さい。


         「ヨーロッパ紀行V −フランス・スペイン−」


              バリヤドリード(「スペインの土」)

 今期展示するのはフランスとスペインの風景画です。
 画集「フランスの道」、「スペインの土」(共に朝日新聞社発行)収録の作品から11点を紹介します。
 


                「ふしぎなたね」



 安野は数学や科学にも関心が深く、その興味を作品として表してきました。
 安野が中心となり創作された絵本「美しい数学」全七シリーズ(童話屋発行)は私たちの身近な世界中での数学が表されており、数学の世界を具体的に楽しく考えることが出来る内容になっています。
 「自然が美しいように、数学も美しい。そのはずなのにこの頃は、入学試験と、それに適応しようとする教育のためか、数学は誤解されて、ひどい嫌われものになってしまった。でも本当は、だれかさんのように、美しい。昔は女神にたとえられたくらいだった。その姿をのぞき見るために、私達の本が少しでも役に立つといいのだけれど。」安野のそのような思いも込められています。
 「ふしぎなたね」は、仙人に不思議な種をもらった男のお話です。
 一つのタネを地面に埋めると二つのタネができ、次の年二つのタネから四つのタネができ…、という「倍数」を表しています。
 「数学」と聞くと何となく苦手意識を持つ方も多いと思いますが、安野の絵と共に考えてみるとおもしろいでしょう。

※秋期展と同じ



第二展示室
           「きつねがひろったイソップ物語」

               「木こりとヘルメス」

 安野は、イソップ物語を独自のアイデアできつねを主人公にした作品にしています。
この作品は、まず子ぎつねコン君が森のはずれで1冊の本を拾ってきたというところから始まります。コン君はお父さんきつねに読んで欲しいとねだりますが、字が読めないことを子どもに知られたくない父きつねは一回だけの約束で、読めないものを読むのです。このことは「子どもに外国語の本を読んでくれと言われた父の立場に似ている。つまり自分の経験が元になっているのだ。」と安野は言っています。
 その内容は、原作の「イソップ物語」と、父きつねが挿絵を見て無理に考えて話す「おはなし」の二つで構成されています。
 例えば、イソップ物語の一編「木こりとヘルメス」(「金の斧、銀の斧」)を題材にしたものです。この話は「神は正しい人は助けるが、正しくない人には邪魔をする」とい寓話ですが、字の読めない父きつねは、神様を手品師だと思い込み「『さあおたちあい、ここに金の斧があります。この斧を食べてごらんにいれますよ』といっているところだ」とコン君に話すのです。
 絵本の冒頭に「コン君は、とうさんに読んでもらいたいのです。話もおもしろいけれど、もしおもしろくなくても、コン君はとうさんがそばで、なにかいってくれるだけでもいいのです」と子が父を慕う素直な気持ちが書かれています。絵本は人間が幼少の頃初めて出合う大切なものです。子どもが絵本に触れるとき、それは、大人とのふれあいの時間であるのではないでしょうか。この作品は、いじらしい父親の愛情とともに、親子が一緒に一冊の絵本に向かうことの意義を感じさせてくれます。